鳥取県内の中小企業と金融機関をつなぐ公的機関として、地域経済を支える鳥取県信用保証協会。
入社2年目の総務部総務企画課・上田 夏鈴(うえた かりん)さんは、入社1年目から新卒採用担当者として活躍しています。「新卒1年目で新卒採用担当が務まるのだろうか」と不安に感じていた上田さん。自信を持って業務に取り組めるようになった背景には鳥取県信用保証協会の組織風土が大きく関わっているそう。彼女が活躍できる理由や、仕事のやりがいについてお話しいただきました。

総務部総務企画課・主事 上田 夏鈴(うえた かりん )さん
大学卒業後、鳥取県信用保証協会に入社。入社1年目から総務部総務企画課に配属され、経理業務、研修企画、新卒採用など幅広い業務を担当。特に新卒採用業務では自身の就職活動経験を活かし、応募者数の増加に貢献。コンプライアンス統括室も兼務している。
信用保証協会は「中小企業と金融機関の橋渡し役」。県内の経済発展に貢献する公的機関
──まずは鳥取県信用保証協会について教えてください。
弊社を一言で表すと「中小企業のみなさまと金融機関の橋渡し役」
です。中小企業のみなさまが金融機関からお金を借りる際に、私たち信用保証協会が「
公的保証人」の立場になることで、お金を借りやすくする役割を担っています。
読者の方にはもしかしたら聞き馴染みが少ないかもしれません。私も学生のときは全く知らない組織でした。信用保証協会は銀行と同じ「金融業」に分類されることが多いですが、その立場は大きく異なります。銀行は企業に直接「お金を貸す」立場ですが、貸したお金を返済できる資力がない方にはなかなかお金を貸すこと、つまり融資することは難しいですよね。
中小企業の経営においては「事業の立ち上げや拡大に資金が必要だがその元手となる資金の準備が難しい」といった場合もあります。私たち信用保証協会はそのようなときに、国の法律に基づく公的機関として、融資の「保証人」になることで中小企業のみなさまの資金調達を支援し、鳥取県の経済発展を目指しています。
そのため私たちの主な業務は、保証をするにあたって企業の将来性や資金の必要性、財務内容などを審査することです。その他には企業がしっかり業績をあげ事業が継続・発展できるよう、経営支援や創業支援なども行っています。
──学生時代は全く知らなかったという信用保証協会に入社を決めたのには、どのようなきっかけや理由があったのでしょうか。
信用保証協会の職員は準公務員とみなされるので、公務員や金融機関への就職を希望していた私にとって、「いいとこ取り」ができる場所のように感じたんです。私も当初は協会の仕事を全く知らず、キャリアセンターの方が教えてくれました。
複数内定をいただきどこか一つに決めなければいけないと迷っていたのですが、私のために女性社員の方々が集まる座談会を実施していただき、給与や働き方などについても具体的な話を聞けたことが決め手になりました。

──入社後はどのような業務を担当しているのでしょうか。
私は総務部に配属となり、基本的な総務業務と合わせて、新卒採用業務を担当しています。採用計画を達成できるように、説明会で弊社の魅力を説明したり、採用方法を検討したりしています。弊社は職員が60名程度の小さな組織ですので、総務部では経理業務をはじめ、研修の実施や採用業務といった人事関連の業務まで幅広い業務を行っています。
「入社1年目で新卒採用担当に?」正解のない仕事に正面から取り組めた背景にある組織風土
──総務部での業務についてより詳しくお聞きしたいです。幅広い業務を担当されるとなると、どのようなスケジュールで1日過ごしているのでしょうか。
始業時間の午前9時ごろに出勤し、まずは毎日のルーティン作業である経理業務を行います。午前中に新卒採用に関する打ち合わせを行い、その内容を元に稟議を作成することもあります。お昼休憩後には兼務しているコンプライアンス統括室の定例会議に参加したり、経理
や給与関連
業務、研修の段取りなどを行ったりして定時の17時15分まで過ごしています。
──本当に1日のなかで異なる業務を行うんですね。チームの雰囲気はどのように感じていますか。
総務部全体をみても年齢差や立場に関係なく意見を言いやすい雰囲気があり、個人プレーではなく全員で相談しながら取り組むことが当たり前です。小さな組織なので前任者の方に業務の相談もしやすいです。ありがたいことに「リーダー」「しっかり者」と言っていただけることもあるのですが、これも意見を出しやすい環境があってこそだと思います。

──入社から2年、総務部で働いてきた率直な感想はいかがでしょうか。
基本的な業務に関しては月単位や年単位で行う仕事が決まっている作業が多いため、2年目以降は対応しやすくなってきたように思います。総務部は会社の1年間の流れや職員の働き方を俯瞰して見ることができるので、貴重な経験をさせていただいていると思います。
一方で、新卒採用業務はとても難しく感じています。正直なところ「入社1年目の私に、新卒採用担当が務まるのか?」という不安の方が大きかったです。これまで通りの採用方法で進めていいのか、いつまでに何を準備したらいいのか、実際の現場を経験していない私がどうやって業務や会社の魅力を伝えるのか……。特に入社1年目に慣れない総務業務と並行しながら進めていくのはとても大変でした。
新卒だからこそ見えた改善点──“学生目線”が採用施策を変えた瞬間
──そんな状況を、どのようにして乗り越えていったのでしょうか。
自分の意見や悩みを伝えられるようになってから、具体的に採用業務も進められるようになってきたと思います。同期や年齢の近い職員は多くはない組織なので、先ほど相談しやすいチームだとお話ししましたが、最初のうちはやっぱり歳の離れた先輩の時間をいただくことが申し訳なく、相談することも遠慮してしまっていたんです。「こんなこと聞いてもいいのかな」「これでいいのだろうか」と迷ってしまって。
そんなときに、当時の総務課長から「採用業務には正解がないので、悩みながらも今できることを一生懸命やっていきましょう」という言葉をかけていただきました。1年間の採用活動が終わらないと結果は分からない。先輩も含めて誰も正解が分からないのであれば、今できることをやってみようと思いました。
──実際にどんなことに取り組んでみたのか、うかがいたいです。
学生目線と採用担当者目線、両方から会社や就職活動について考えられるのは1年目という私の強みです。私自身の就職活動経験が「学生目線が分かり参考になる」と言っていただけたので、積極的に意見を出すようにしました。
従来通りの採用方法やスケジュールを引き継ぎつつこれまでの活動や採用方法を見直して、学生への認知度を高めるための1day仕事研究インターンや説明会イベントへの出展を新たに行いました。
──上田さんの積極的な姿勢や意見がどんどん形になっていったんですね。
一次試験の方法も変更することにしました。これまではエントリーはしてくれるけど一次試験すら受けずに辞退してしまう人が多かったんです。来社して一次試験をうけてもらうのではなく、全国から受験できるSPIを導入しました。私自身、現地で筆記試験を受けた会社は少なかったこと、学生が並行受験するであろう多くの銀行や信用金庫では最終面接以外はオンラインで完結している状況を伝え、遠隔地からでも参加できるようにしたことで、一次試験前に辞退してしまう人数の減少につながりました。
学生のみなさんと年齢が近く、コロナ禍での学生生活や就職活動について共感しあえたり、年齢が近い社会人としてのリアルな話ができたり、親しみをもっていただけたこともあったのかなと思います。
従来の方法を変えるのは大きな挑戦でしたが、振り返ってみれば数字での結果も出すことができました。「新卒だからできない」のではなく、「新卒だからできる」ことがあるのだと自信を持てました。
最初は遠慮ばかりでしたが、今では一緒に新卒採用を担当する先輩にどんどん相談させていただいています。役員の方が、私たちが話し合っている近くを通りかかると「おっ!『採用コンビ』がまた何か新しいこと始めるのか?」と冗談混じりに話しかけてくださいます。なぜか私が「団長」で、先輩が副団長だそうです(笑)。

内定はゴールではなくスタート。採用担当も含めて臆さずに相談し、悔いのない選択をしてほしい
──年次や役職に関係なく、仕事に向き合っていける組織の姿が目に浮かびました。上田さんの今後の目標について教えてください。
弊社のお客様である中小企業の経営者と実際に接する業務にも挑戦してみたいです。というのも、学生のみなさんに業務内容をお伝えするなかで、信用保証業務の一連の流れを経験したわけではないので、具体的に伝えきれずもどかしさを感じることもあるんです。より説得力を持って弊社の業務を説明するためにも、現場を経験したいです。
また、資格取得にも挑戦していきたいです。職員の中には、中小企業診断士や社会保険労務士の資格を取得している方がいらっしゃいます。私もさまざまな資格にチャレンジして、経営者の方により信頼していただけるような職員になりたいと思っています。
──最後に、就職活動中の学生へメッセージをお願いします。
就職活動中は同級生や友人の内定状況が気になったり、自分の将来について不安に思ったりすることもあると思います。「私って出遅れているんじゃないかな」と必要以上に焦ってしまう気持ちも痛いほど分かります。
私自身もそうだったのですが、内定がゴールのように見えてしまいがちです。でも実際は、社会人としてこれから何十年も働くための「スタート」なんだと思います。早く決まればいいというわけではなく、自己分析や将来についてしっかり考えることがいい結果につながるんじゃないかなと思います。
「悩んだときは、まわりの社会人に相談してみてほしい」ということです。キャリアセンターの相談員やゼミの教授など、社会人経験者に相談することで学生目線とは違った意見を聞けるかもしれません。実際にキャリアセンターの方には「他の業界を見てないのに、自分が金融業界に適してると言いきれる?」と問われ、見つめ直すきっかけになりました。
企業の採用担当者になんでも質問できるのも学生の特権です。「お給料は実際にどのくらいなの?」「実際にはどんな業務をしているの?」など遠慮せずに気軽に聞いてみてください。少なくとも弊社はどんどん聞いていただいて問題ありません!
みなさまが悔いの残らない選択ができるように応援しております。

