産業廃棄物の収集・運搬から中間処理、資源化まで、幅広い環境関連事業を展開する三光株式会社。多様化・複雑化する環境課題に向き合い、地域社会や企業の安心・安全な事業活動を支える役割を担っています。
今回取材したのは、製造部プラントチームとして設備メンテナンスに従事する増本 雄大(ますもと ゆうだい)さん。社会にとって不可欠な産業廃棄物処理の現場のリアル、そして同社の魅力についてお話を伺いました。

三光株式会社 増本 雄大(ますもと ゆうだい)さん
島根県出身。大学で環境学を専攻し、卒業後三光株式会社に入社。今年で入社8年目となる。製造部プラントチームに所属し、焼却炉やリサイクル設備のメンテナンス、処理量の管理、計画管理などを担当。特に、新規事業である有機溶剤の精製・再生事業の立ち上げに現場責任者として関わり、事業化に成功した経験を持つ。
「捨てる」を「活かす」へ。産廃処理の最前線の仕事とは
──本日はよろしくお願いします。まず三光株式会社の事業内容と、増本さんの所属部署について教えていただけますでしょうか。
三光株式会社は、産業廃棄物の収集、運搬、そして処理を全般的におこなっている会社です。近年では、焼却炉の熱を利用した発電や養殖など、新たな事業にも力を入れています。
私は製造部のプラントチームに所属しており、蒸留再生事業の入出荷管理と設備管理をメインに担当しています。
──「蒸留再生事業」とは、具体的にはどのようなお仕事なのでしょうか。
工場から排出された廃有機溶剤を専用設備で蒸留し、再び使える資源として再生する事業のことをいいます。リサイクルできない廃棄物を燃やして熱エネルギーとして利用する「サーマルリサイクル」や、使用済み有機溶剤を精製して再利用するなど、「捨てる」という概念を「活かす」に変えている事業です。

たとえば、弊社ではRPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)という、主に廃プラスチックを原料にして固めたものを、ボイラー燃料としてお客様に供給しています。また、汚泥炭化設備では、下水汚泥を乾燥し炭化することで製鋼保温材(製鉄工程で溶鋼を運搬・保持する際温度低下を防ぐ)やバイオ炭(土壌改良剤、土壌に埋めることで長期間CO2を固定できる)として出荷しています。さらに、有機溶剤やシンナーといった汚れたものを回収し、精製してきれいな状態に戻してお客様にお返しする事業もおこなっていますね。
私の業務は、これらの事業を支える焼却炉やリサイクル設備のメンテナンス、そして、日々どれくらいの量の廃棄物が処理されているのか、どのようなものをいつどう処理するかという処理計画の管理です。
厳しく見える先輩ほど実は優しい。世代を超えたチームワーク
──入社されて8年目とのことですが、三光株式会社への入社を決めたのはどのようなきっかけだったのでしょうか。
学生時代から環境問題に強い関心があったんです。高校生のとき、テレビニュースで環境問題について頻繁に取り上げられているのを見て、これからの時代における環境問題の重要性や業界の成長可能性を感じました。
大学では環境系の学部に所属し、環境問題やリサイクルについて幅広く学びました。就職活動中に、地元で環境分野の仕事に携われる会社を探していたところ、三光株式会社を知ったんです。
入社したいなと思ったのは、インターンシップに参加した際に、働いている方々が楽しそうだったこと、そして何より「雰囲気がいい」と感じたからです。仕事中は真剣でありながらも、休憩時間には和やかに話していて、メリハリをつけて業務に取り組んでいる。そして、個人プレーではなくチームで動く一体感を感じられたことが、大きな決め手となりました。

──入社前に抱いていたイメージと、実際に入社してからのギャップに感じたことはありますか?
良いギャップは、想像以上にきれいな職場環境だったことです。産業廃棄処理業という業界柄、どうしても「汚い」「臭い」といったイメージがあったのですが、実際はそんなことはありませんでした。ゴミを扱うからこそ、従業員みんなが高い衛生意識を持っていて、工場内もきれいに保たれています。消臭対策として会社がお金をかけて設備投資をしているのもあり、想像していた以上に快適な環境でした。
ネガティブなギャップはあまりありませんが、しいていうなら、手作業の業務が一定発生することでしょうか。今の時代、機械化が進んでいるかと思っていたので、最初は正直、意外に思いましたね。
ただ、実際に働いてみると、手作業でおこなうべき理由があるとわかりました。リサイクルにおいて機械での判別が難しいものは、目視で判断する方がより安全に処理できるのです。手作業の業務も経験したことで、機械の恩恵に対するありがたみも増して、大切に扱おうという意識が持てるようになりました。
──社内の雰囲気についても教えてください。まず、会社にはどんな方が多いと思いますか?
優しくて話しかけやすい方ばかりで、個性的で面白いですね。平均年齢は40歳ほど、男性が8割、女性が2割と、年齢や性別もバラバラですが、世代を超えてコミュニケーションがとりやすい職場です。
新人の頃、年上の先輩方に囲まれて働いているときは「質問していいのかな?」と、少し身構えてしまうこともありました。真剣に働いている分、少し厳しい雰囲気の先輩に勇気を出して質問してみたら「こんなことも分からないのか」と言いながらも、手取り足取り丁寧に教えてくださったことが印象的で。
質問しても「見て覚えろ」と言われるかなとドキドキしていましたが、「こんなに教えてくれるんだ」と思うほど、1つひとつの作業を丁寧に教えてくれたんです。まさに「ツンデレ上司」みたいだなと。一見怖そうで厳しく見える方ほど丁寧に教えてくれて、先輩方のあたたかさに救われながら成長できたと感じています。

──魅力的なギャップですね。社風についても教えていただけますか。
会社全体に「新しいことにどんどんチャレンジしていこう」といった社風があります。というのも、社長自身が現状に満足しないスタンスを常に持っていて。社長は現場にも積極的に顔を出す方で、私が所属する工場にも月に数回ほど来てアドバイスをくれるので、刺激と勉強になっています。社長との距離が近く、さまざまな取り組みに挑戦しつづけられるのが弊社の特徴だと思いますね。
さらに、世代を超えたチームワークも会社の特徴です。所属している製造部プラントチームは20名ほどのチームですが、そのうち約半数は20代の若手社員。ベテラン世代の古き良き技術や考え方と、若手世代の新しい視点が融合して、とても良いバランスで協力できています。
「なくてはならない」仕事への誇りと責任がやりがい
──三光株式会社で働く中で、どんなところにやりがいを感じますか?
やはり「なくてはならない仕事」であるという実感をもって働けることが、何よりもやりがいです。
社会が活動している以上、私たちの仕事は止めることができません。焼却炉1基で処理するゴミの量は、1日で100t(トン)ほど。焼却炉がたとえ半日でも止まってしまうと、さまざまな影響を及ぼしてしまいます。
当たり前につづく日々の生活の土台には、私たちの仕事がある。そう実感できることに、使命感とやりがいを感じますね。

──入社後約8年間で、一番大変だと感じたのはどんな瞬間でしたか?
新規事業である、蒸留再生事業の立ち上げは想像以上に大変でした。
当時、焼却炉に関する業務を一通り経験したタイミングで、「新規事業の現場責任者をやってみないか」と声をかけてもらったのをきっかけに、初めて現場責任者にチャレンジしました。どのような設備を導入するか、どのようなプロセスで回していくかを計画、設計しました。
しかし、実際にやってみると、思い通りにいかないことの連続でした。誰もやったことがない事業なので、社内で質問できる人もいない。機械の選定からやり直したり、設定を変えたり、入れ替えたり……。データを取りながら、少しずつ実績を積み上げていき、計画から約6年後に事業化に成功しました。長い年月をかけたプロジェクトで、実際に設備が動いて事業としてスタートできたときの達成感は、今でも忘れられません。
──6年という長い年月をかけた分、成功したときの感動の大きさが想像できます。新規事業の立ち上げ経験の前後で、ご自身の変化を感じることはありましたか?
技術面でももちろんですが、メンタル面での変化を感じましたね。事業立ち上げという難易度の高い挑戦において、結果がすぐに出ない日々を経験したからこそ「どんなに大変なことでも、なんとかなる」というマインドが身につきました。今では、多少のトラブルが起きても、物怖じせずに対応できます。
たとえば、焼却炉が止まるようなトラブルが発生した時は、お客様にも影響を及ぼすリスクがあるため、迅速な復旧が求められます。そんなときは、自分一人で抱え込まず、チームで協力して復旧にあたります。みんな同じように「止めずに動かしたい」という想いをもって、同じ方向を向いて取り組める。「仲間がいるから、大丈夫」と思えるんです。
「社会に貢献したい」そんな想いがある方にこそ、環境事業に挑戦してほしい

──これから就職活動をされる学生の皆さんにアドバイスをいただけますか?
まずは、さまざまな業界や職種を見てみることをおすすめしたいですね。たとえ「これしかない」と自分のなかで決めている分野があったとしても、一度違う世界に触れてみることで、新たに興味を持てることが見つかるかもしれません。自分自身の興味関心を制限せずに、幅広い分野を検討してみてほしいです。
そして、もし「これがやりたい」と直感したものがあれば、自分の感覚を信じて進んでほしいです。自分の心の声や興味関心に従えば、きっと楽しく働けると思いますよ。
──最後に、環境事業や三光株式会社に興味を持つ方に向けてメッセージをお願いします。
産業廃棄物処理という仕事は、「ゴミを処理する」だけではなく、資源を有効活用し、社会の基盤を支える、非常に意義のある仕事です。
弊社は「私たちは人類の永続と繁栄と幸せのため創造的思考をもって楽しく、真面目に、 一所懸命行動し地域にとってなくてはならない企業であり続けます」という企業理念を掲げています。そのためにも、従業員一人ひとりが「会社にとってなくてはならない人材」で在ることへのプライドを持って働いています。
社会に貢献できる、誇りある仕事がここにあります。もし、環境事業を通して社会を支えていくことに興味がある方は、ぜひ三光株式会社に来ていただけたらうれしいです。やる気と元気のある若手の皆さんと、一緒に働けることを楽しみにしています。
(取材:大久保 崇 編集:成田愛恵 執筆:なこてん)
鳥取県米子市を本拠地とする唯一の金融機関である米子信用金庫は、金融事業を通して地域の発展を目指しています。
今回お話を伺ったのは、入庫2年目で営業職に従事する川﨑 翔我(かわさき しょうが)さん。学生時代から金融機関の営業職を目指していた川﨑さん。一筋縄ではいかない営業現場で学びが多い日々を送っているそうです。「信用金庫の仕事はただお金を貸すだけじゃなかった」。そう気づいた川﨑さんに、地域に根付いた信用金庫で働くとはどういうことか、彼が前向きに仕事に取り組める理由や今後の目標についてお聞きしました。

境港支店・営業担当 川﨑 翔我(かわさき しょうが)さん
金融機関につとめる親戚から影響を受けて、金融機関に興味を抱いて就職活動をスタート。生まれ育った鳥取県米子市に貢献するべく、米子信用金庫に入庫後は境港支店に配属される。営業職として地域企業の創業支援から個人の住宅ローン相談まで、幅広く地元の人々の悩みに寄り添う。
米子信用金庫が目指す「地域で一番“ありがとう”と言われるコミュニティバンク」が、自分の将来像に合致した
──まずは米子信用金庫について教えてください。
米子信用金庫は「地域のお客様の身近なパートナー」としてお金を貸すこと、つまり融資をすることで鳥取県の発展を目指す地域密着型の金融機関です。
多くの方が金融機関としてイメージされる銀行も、私たちのような信用金庫も「お金を預かる」「お金を貸す」といった基本的な機能は変わりません。しかし、信用金庫は地元に根ざしているので、より近い距離で地域住民のお金にまつわる悩みをサポートすることができます。
「お金を借りて事業を拡大したいけれど、資金調達が難しい」という方もいらっしゃいます。私たち信用金庫は銀行からの融資が望めるような大企業のみを顧客とするのではなく、地元で創業を目指す方々と膝を付き合わせて経営計画を一緒に考えるところから始めます。

──米子信用金庫に入庫を決めたのには、どのような理由があったのでしょうか。
地元に貢献できる企業のなかでも米子信用金庫が目標に掲げる「地域で一番“ありがとう”と言われるコミュニティバンク」が、私が目指す社会人像と合致していたことが決め手です。自分が成長して「ありがとう」と言われるようになれば、企業も一緒に成長していきます。反対に、企業が成長すれば私もさらに成長して支援する必要があります。ともに成長しながら歩んでいける仕事に魅力を感じ、自分のありたい姿を実現できそうだと思い入庫しました。
また、もともと金融機関に勤めていた親戚から仕事内容を聞いていたこともあり、身近に感じていました。「担当企業に融資できたことで、担当企業が成長していく瞬間にやりがいを感じる」。そんなふうに語る親族の言葉に当時はピンときていませんでしたが、就職活動中に信用金庫の仕事を改めて知り、自分も営業職としてその瞬間に立ち合いたいと感じました。
信用金庫の仕事は融資だけじゃない。経営者と膝を突き合わせて、経営計画を一緒に考える

──入庫後は営業職としてどのような業務を担当しているのでしょうか。
経営資金を借りたい企業の方や、住宅や車の購入を考えている個人のお客様からお話を伺い、さまざまなニーズにあった商品を提案しております。
なかでも、お客様の事業拡大や創業支援にやりがいを感じています。入庫するまでは、信用金庫の仕事は単に「お金を貸す」ことだと思っていましたが、そうではありませんでした。融資をする前には、お客様の事業計画書を挟んで膝を突き合わせて話し合い、経営計画を一緒に考えます。
私が担当して実際に創業されたお客様の元には定期的に訪問させていただいており、「川﨑さんのおかげで創業できて助かったよ」と感謝の言葉をいただくこともあります。お客様の創業や課題解決を支援した結果、生まれ育った地元に貢献できることにもやりがいを感じます。
──融資するまでの過程で、お客様の事業を理解して話し合うのですね。どのようなスケジュールで1日過ごしているのでしょうか。
始業時間の8時半に合わせて出勤し、当日の営業スケジュールを確認して準備を整えたら外回りへと向かいます。お客様を訪問して悩みをヒアリングしたり商品を提案したりして午前中を過ごします。
12時からお昼休憩をいただき、午後も同様に企業訪問へ。企業様との面談を行うこともあります。15時半ごろにオフィスに戻って1時間ほど事務作業やその日の振り返りを行います。16時ごろから社内会議に出席したり、翌日の訪問先選定や資料準備をしたりして17時に退勤します。
──1日の中で本当にたくさんの企業の方とお会いしているのですね。
経営者さんとお話しするなかで、多種多様な業界について知ることができるのも米子信用金庫で働く魅力のひとつです。
とはいえ担当企業を持ち始めたころは、何を話したらいいのか分からず、雑談だけして帰ってしまうことも……。私は人と話すことが好きですが、お客様の事業を理解するために必要な知識が多く「好きなだけでは務まらない」と痛感しましたね。何も話せずにお客様のところを後にした日には、「自分はなにをやっているんだろう」と落ち込む日もありました。
「焦らずに自分の営業スタイルを見つけていけばいい」先輩の言葉が壁を乗り越える力に

──企業の経営者とお話しするというのは特に最初は難しそうだと感じました。
最初はどうやって話すべきか悩みましたね。まわりの先輩に助けていただきながら手探りで自分らしいスタイルを見つけ、少しずつ話せるようになってきました。「焦らずに自分の営業スタイルを見つけていけばいい」という言葉もかけていただき、訪問にも同行していただいて。金融機関は仕事のすべてがマニュアル通りに行われるような堅いイメージがあるかもしれませんが、悩みの引き出し方や提案に繋げる方法などに人それぞれの“色”があると学びました。
──先輩のおかげで営業に自信を持てるようになったのですね。川﨑さんが感じる、一緒に働く方々や職場の“色”はありますか?
お客様に対しても同僚に対しても、親身に向き合う人が集まっています。私が担当するお客様から、もう何年も前に別の支店に異動された先輩のお名前があがることもあるんですよ。先輩がいつまでもお客様の心の中にいて、信頼されているのだと思いました。何気ない時間に「今日はお客様とこんな話をしてきたよ」と聞くことも多く、本当にお客様のことを想って行動していらっしゃるんだと尊敬します。
「ありがとうを言われた回数が桁違い」憧れる上司の背中を追いかけながら、将来的には支店長を目指したい
──川﨑さんの今後の目標について教えてください。
大きな目標にはなりますが、支店長を目指したいです。私には尊敬する上司がおりまして、その方のように「部下やお客様から信頼される営業担当」になった先に支店長が見えてくるのではないかと思っています。
その上司はお客様との会話のなかでも頻繁に名前があがるほどで、信頼が厚いことがよく分かります。おそらくお客様から「ありがとう」を言われた回数が桁違いなんですよ。それだけお客様の課題をたくさん解決しているのだと思います。
そこに至るための努力量も桁違いで、企業理解のために書籍を読んで自己研鑽に励んだり、担当企業の従業員になったつもりで提案を考えていたりするのを目にしました。「担当先のために何か力になりたい」。そんな想いが伝わってくる上司のような存在に成長したいです。

──最後に、就職活動中の学生へメッセージをお願いします。
就職活動中は「どの企業に入ればいいのか」「自分のやりたいことはなんなのか」と不安が多い毎日を過ごしていると思います。仮にやりたいことが見つけられなくても、自分の得意なことを活かして輝ける場所があるはずです。企業説明会にたくさん参加したり、自分で調べたりして自分の将来を大切に守ってあげてください。希望業界以外も幅広く理解することは、のちの業務に活かせるので決して無駄にはならないと思います。
たとえ無事に就職活動を終えても、社会人として働くこと自体にも不安がありますよね。ですが、会社には必ずあなたを助けてくれる「先輩」という存在がいます。私も、私を支えてくれた偉大な先輩方のように、みなさんを支えられる先輩になりたいと思っています。だから恐れずに成長の1歩目だと思って飛び込んでみてください。
(執筆:儀賀千春・編集:成田愛恵)
鳥取県・境港市。日本海の潮風が吹き抜けるこの町に、1日あたり約100万杯のコーヒーを焙煎すると言われる会社があります。株式会社澤井珈琲。1982年、澤井幹雄さん・由美子さん夫妻が「家庭でインスタントコーヒーではなく豆を挽いて飲む「レギュラーコーヒーの時代」が来る」と信じて始めた珈琲屋さんが、その原点です。現在は自社工場を4つ構え、銀座やソラマチといった都心にも店舗を出店しています(取材時)。通販コーヒー市場では11年連続売上No.1を記録し、リピート率7割超という圧倒的なファンベースを築いてきました。そのノウハウをまとめた著書『奇跡の珈琲』も話題となり、全国のコーヒー愛好家に支持されています。今回お話を伺ったのは、澤井家の次男であり、経営全般を担う中心人物・澤井聡さん。本記事では、澤井珈琲の強さの秘訣を、チームづくりや地域との関係性など“内部”に目を向けながら紐解いていきます。

取締役経営企画室長 澤井 聡(さわい・さとし)さん
兄で常務取締役の澤井理憲さんとともに二代目経営陣として体制を支え、創業家として澤井珈琲を次の世代へつなぐ経営を実践している。製造計画、研究開発、人事制度、採用活動、地域との連携まで、会社のすみずみを見つめ続けてきた“組織の要”。通販事業を担う兄の澤井理憲さんがEC戦略を推進する一方で、聡さんは人と組織の現場を支え、社員や地域に関わる領域を中心に経営を担っている。
”コーヒーを通じてお客様に笑顔と感動、そして健康を。社員に幸せを。地域に力を。”

──澤井珈琲の理念を教えてください。
これまでは、“コーヒーを通じてお客様に笑顔と感動をお届けする”という理念でした。
二代目としてこれからの時代を担っていく私たちは、そこに“プラスアルファ”で新しい会社をつくっていかないといけないと感じています。
これまでお客様にだけフォーカスしていた部分を、社員の幸せや地域の活性化へと広げていきたい。そんな思いから、“コーヒーを通じてお客様に笑顔と感動、そして健康を。社員に幸せを。地域に力を。”という言葉にたどり着きました。関わるすべての人が元気になっていく会社にしていきたいと思っています。
この理念は私ひとりで考えたものではなく、管理職一人ひとりと話しながら、共感できるかどうかを確かめて決めていきました。“こういう会社にしたいんだけど、どう思う?”と対話を重ね、方向をそろえていった結果が、いま掲げているこの言葉なんです。
飲んで美味しいだけじゃなく、飲みながら健康になってほしい
——健康をテーマにした商品開発や研究まで取り組む背景には、どんな想いがあるのでしょうか?
私が3歳のときに店ができて、1日の売上が1000円の日も見てきました。だからこそ、ここまで大人になれたのは、お客様に買っていただいたおかげだと身に沁みて感じています。あの頃30代、40代だったお客様が、今では70代、80代。だから今度は“健康”という形で恩返しをしたい。飲んで美味しいだけじゃなく、“飲みながら健康になってもらえるコーヒー“を届けたいと思っています。
澤井珈琲では、産学官連携による研究を通じて、オリジナルコーヒーの開発も進めています。代表的なのが、健康成分“トリゴネリン”に着目した「トリゴネコーヒー」や「トリゴネコーヒー茶」。コーヒーが苦手な方でも気軽に楽しめるよう、健康志向と飲みやすさを両立させた商品です。さらに、低温熟成によってクロロゲン酸を多く含む「氷温甘熟珈琲」や、香りの豊かさを極めた「大吟醸珈琲」など、どれも“健康・安心・安全”をテーマにした“地域発のオンリーワン”商品として支持を集めています。
親子二代で飲んでくださる方も増えてきて、“母と一緒に小さい頃から澤井珈琲を飲んでます”なんて言われると、本当にうれしいです。
“不可能”を覆す挑戦──寒冷地で2万本のコーヒーを育てる理由

──澤井珈琲にとって、“地域への貢献”とはどのような形なのでしょうか?
我々の大きな強みは、EC販売で培ったノウハウです。その経験を活かして、地元・大山町の事業者さんの特産品を“ふるさと納税”を通じて全国に届けるお手伝いをしています。商品ページの制作から、メルマガ・LINEでの発信まで、EC運営の仕組みを支援する事業です。寄付額が3年で3倍になった地元企業もあり、お力になれることがとても嬉しいです。
その他には、コーヒーが飲めない方にも、無農薬で“安心・安全“なうえ、トリゴネリンなどのコーヒーの健康成分を多く含む“コーヒーの葉で作ったお茶“を届けたいという思いから、寒冷地では難しいと言われてきたコーヒー栽培に取り組んでいます。今では、約2万本のコーヒーの木を育てるビニールハウスがあるんです。研究開発型のラボショップも併設していて、栽培・焙煎・販売を全てそこで行っています。鳥取・境港という場所で、こうした取り組みができるのは、本当にたくさんの方の支えがあってこそだと思っています。
これまでを振り返ると、繁忙期には地域の方が「手伝うよ」と力を貸してくれたり、「うちの敷地使う?」と場所を提供してくれたり、困ったときにはその分野に詳しい方を紹介してくれたりもして。本当に、地域の皆さんに支えていただきながら、会社が繋がれているなと思っています。
一人ひとりの気づきが、会社を強くする

──組織力の秘訣は何ですか?
改善って、トップだけが考えて指示して進めるばかりじゃないと思うんです。現場のことは、やっぱり社員の方が一番よく知っていますから。 そこで“気づいたことがあれば、気軽に改善提案してね”という仕組みがあります。1件につき500円の奨励金を出すようにしているんですが、最初は1件しか出なかったんです。それが今では200件を超えるようになりました。外注したら何十万円もかかるような仕組みを、社内で自発的に作ってくれたこともあって。本当に頼もしく思っています。
あとは、お客様に健康を届ける会社である以上、まず自分たちが健康でいることも大切だと思っています。ウォーキングや野菜摂取チャレンジ、読書チャレンジなど、目標を達成できたら会社から“プチギフト“を贈るような取り組みもしています。“健康だったり、心のリフレッシュにつながったらいいな”という気持ちで続けているんです。
特に感謝しているのは、父や母や兄に“これをやりたい”って言うと、すぐに“いいね、やってみよう”と賛成してくれるところです。良い企画は、思いついた次の日にはもう動ける。そういうスピード感があるのは、本当にありがたいですね。
創業以来はじめての“値上げ”が、チームを一層強くした。

──経営の中で、印象に残っている決断はありますか?
一番難しかったのは、創業以来初めての大きな“値上げ”ですね。原価がどんどん高騰する中で、私自身も原価計算を担当しており、どうすれば社員の幸せを守りながら、お客様に選んでもらえるのか——。本当に悩みました。しばらくは利益を削る選択をとっていましたが、もうどうにもできないところまで上がってしまい、最終的に一部値上げを決断しました。
その時、ただ値上げをするだけでなく、“サービスや品質も上がった”と思ってもらえるようにしようと、社員のみんなが本当に頑張ってくれたんです。その結果、値上げしたのに注文していただける機会が増え、心の底から感謝の気持ちが湧いてきました。
澤井珈琲には、“対面より本気の非対面”という言葉があります。顔が見えないからこそ、メール一通にも、梱包ひとつにも心を込める。 そういう姿勢が、うちのチームらしさだと思っています。
あの局面を、次の世代のチームで乗り越えられたことは、 いま振り返っても大きな自信になりました。
“ありがとう”を伝え合える組織をつくりたい

──今後、どんな会社にしていきたいですか?
難しい言葉はなくて、大きく分けると“改善”と“感謝”の2つかなと思っています。人間って突き詰めていくと、“ありがとう”と“ごめんね”しかないのかなって。だからこそ、“ありがとう”がちゃんと伝え合える組織にしたいと思って、サンクスカードという感謝を伝え合う取り組みをしています。以前よりも“ありがとう”という言葉が社内に溢れるようになりました。

忖度が出るといけないので、役員はサンクスカードの対象外なんですが、以前私が社員と一緒に、テーブルから椅子から壁紙から、ちょっとずつ手作りした休憩室について“作ってくれてありがとうございます”とカードをもらったときは、とてもうれしかったです。
改善していく気持ちと、感謝の気持ちがあれば、会社は間違った方向にはいかないと思っています。“いい循環“が生まれるチームでありたい。 そういう積み重ねを続けていけば、きっと会社は長く繋がると思っています。
“100年続く会社を目指したいよね”って、昔から父と、そして息子と、三代で語り合っています。
理念に共感し、共に未来をつくる仲間と

──新しく出会う仲間に、どんなことを期待していますか?
チャレンジ精神があって、チームワークを大切にできて、誠実。この3つがあれば、どんな方でも活躍できると思います。
今後は海外や東京への展開をさらに進めていくところですし、若い人たちの柔軟な発想から学ぶことも多いと感じています。AIによる効率化やSNSでの広報など、新しいことにもどんどん挑戦してほしいです。澤井珈琲の理念に共感しながら、こうした新しいチャレンジを一緒に前へ進めてくれる仲間に出会えたらうれしいです。
スタッフの中には、“小さい頃からおばあちゃんやお母さんが澤井珈琲を飲んでいて、ずっと好きだったから” と入社してくれる方もいます。そういう“ご縁のめぐり”のようなものを感じる瞬間が、とてもありがたくて、うれしいんです。
“コーヒーを通じてお客様に笑顔と感動、そして健康を。社員に幸せを。地域に力を。”
そして、売上、社員満足度、地域貢献——。全部合わせて“1位”を目指す。この想いに共感して入社してくれたスタッフがたくさんいます。だから、これは夢物語ではなく、みんなで一緒に体現していきたいと思っています。
(取材・執筆:貞光智菜)
米子ガス株式会社(以下:米子ガス)は、昭和5年に創立して以来、都市ガス、プロパンガス、電気の供給を通じて、鳥取県米子市の人々の快適な暮らしを支え続けてきました。地域に根ざした「最も身近な企業」として、地元の方々の安心・安全な生活を守り、支えています。
今回お話を伺ったのは、施設管理部でガス工作物の維持・管理を担当している入社3年目の木村 真夏斗(きむら まなと)さんです。地元の高専(機械工学科)を卒業後、米子ガスへ入社。仕事のやりがいや今後の目標について、緊張しながらも楽しそうに語っていただきました。

【プロフィール】
施設管理部 木村 真夏斗(きむら まなと)さん
鳥取県米子市出身。米子工業高等専門学校(機械工学科)を卒業後、インターンを経て米子ガスに入社。地元で働きたくて転勤のない企業を探していたほど、鳥取県への愛着が深い。休日には、昔からの友人たちと遊びに出かけてリフレッシュしている。
地域の安全とエネルギーを守る、施設管理部の働きとは

──まずはじめに、米子ガス株式会社の事業について教えてください。
弊社は、都市ガスやLPガスの供給をメインとし、他にはガス機器の販売・点検なども行っております。また、今後はエネルギーの需要として電気が主流になっていくので、最近では電力販売にも力を入れています。
──その中で、木村さんはどんなお仕事をされているのでしょうか。
私は施設管理部という部署で、都市ガスの配管や設備の維持管理を担当しています。地面に埋まっているガス管を扱う仕事で危険物を取り扱っているため、ほんの少しの注意不足が大事故に繋がることもあるので、毎日緊張感を持って作業しています。市民の安全と安心を守る仕事にやりがいを感じています。
──危険物の取り扱いには資格も必要だと思いますが、会社からの補助などもあるのですか?
そうですね、資格取得支援制度で受講料が免除になるので、会社指定の資格を取得しながら、自主的にガス主任技術者の丙・乙種も取得しました。資格を取得すると報奨金ももらえますし「いっぱい持ってたらカッコいい」という自己満もあります(笑)
もし将来転職をする場合にも、資格はいろいろ持っていた方が強いと思うので、たくさん勉強して知識をつけていきたいという気持ちもありますね。
──資格取得への前向きな姿勢、素敵です。お仕事の1日のスケジュールはどのような感じですか?
出社後、まずは全体朝礼で連絡事項と朝礼当番から一言をいただきます。次に、各部署に分かれて朝礼を行い、その日の業務について共有し合い、1日が始まります。その後は、現場に向かい11時頃まで上水道等の工事立会い・監視・指示などを行い、終わり次第会社に戻り、現場についての事務作業を進め上司に報告します。
昼は、社内の休憩スペースで食事をとることもあれば、現場によってはそのままみんなで近くのご飯屋さんにふらっと入ることも多いです。現場への移動中の車内や昼休憩の時間は、仕事の相談やプライベートな話をしたりしながら過ごしています。
そして、午後からは水道の工事会社からの問合せの受け答えや、ガスの設備点検などを行い、最後に日報を書いて基本的に定時の17時に退勤します。17時半にはパソコンの電源が強制的に切れるので、基本的に遅くまでの残業は“できない”ですね(笑)
──珍しいですね!残業がなく退社ができるのは働きやすいですね。お仕事をする中で心がけていることはありますか?
一般のお客様へ説明をするとき、専門用語を使わずにいかにわかりやすく説明するかを意識していますね。例えば、会社では「開栓」と言っているところを「ガスの契約」と言い換えたり、「供給管」と言っているところを「おうちへの引き込み管」と言い換えたりしています。
困ったときには手を差し伸べてくれるあたたかい環境

──木村さんが所属する施設管理部はどんな雰囲気ですか?
20代から40代のスタッフが集まり、和やかでいい雰囲気です。部長や先輩たちも交えて仕事のことやそれ以外のことも話しやすい雰囲気があり、コミュニケーションがとりやすく、若手社員からも質問しやすい雰囲気を作ってくれていると感じますね。
小さな業務が重なってパンクしそうになっているときにも、その状況を察して先輩から声をかけてくれるので常に気にかけてくださっているな、と安心します。
──素敵ですね、雰囲気の良さが伺えます。若手社員同士のコミュニケーションはいかがですか?
仕事終わりにときどき飲みに行ったりしますね。他にも、30歳以下が加入できる労働組合青年部でクリスマス会や新年会などのイベントがあるので、そこでもコミュニケーションをとって親睦を深めることができます。

──これまで働いてきて、ご自身が成長したと感じたエピソードはありますか?
以前所属していた部署は、自分と上司の二人だけという環境。知識も全くない中、それでも業務を回していくために早く内容を覚えていかなければいけなかったので、プレッシャーがありました。でも、その状況を乗り越えるために、ただその業務を覚えるだけではなく、上司に質問をしたりしながら「なぜその業務を行うのか?」という部分を意識することで早く覚えることができ、壁を乗り越えることができたと感じています。
機械工学科から米子ガスへ。「地元で働く」ことを決めた理由

──木村さんはどういった経緯で米子ガスに入社されたのでしょうか?
もともと機械に興味があり好きだったので高専で機械工学科を専攻しました。高専はさまざまな企業に就職ができるので県外の大手に就職する人も多いですが、僕は友だちがいる地元で働きたかったので「転勤がない」地元の企業を探していました。
そこから地元のガス会社のインターンに参加し、その中でも米子ガスは若手社員も多く雰囲気が良くて惹かれ、「転勤がない」とのことで入社を決めました。
──木村さんが働く上で「地元で働くこと」が大切な軸だったのですね。実際に入社してみて、ギャップを感じることはありましたか?
社会人になると時間がない中で自ら勉強して知識をつけていく必要があると思っていたのですが、働きながらいろいろな研修に参加して勉強をさせてもらえるので想像とは違いましたね。
──良いギャップですね!社内研修はどういったものがあるのでしょうか?
入社時はもちろん新入社員向けの研修がありますが、他にも中堅向けに育成面での研修があったりと、それぞれに合った研修が受けられます。業務の中でマンホールの中に入ったりすることもあり、酸素欠乏症になる危険性もあるので、研修で危機管理能力などについて事前に学ぶことができ助かっています。

──やってみなきゃわからないことを事前に研修が受けられるのは心強いですね。逆に「大変だな」と感じたギャップはありますか?
弊社は「ジョブローテーション制度」があるので、約1年ごとに部署異動をしてさまざまな業務を経験します。そのため、ひとつの業務を突き詰めて極める前に異動になり、中途半端で終わってしまうこともあります。でも、若いうちにいろいろな部署を経験して、自分に合った業務を見つけられるのでいい制度だなと感じています!
まだまだ成長途中、次は自分が後輩をサポートできる存在に

──今後の目標があれば、ぜひ教えてください!
会社的にも電力販売に力を入れているので、電気に関する資格で電験三種(第三種電気主任技術者)を取りたいなと思っています。
他にも、自分の仕事はすべて自分でこなすようにはしているのですが、業務量が多くなる中では、先輩に対しても自分のキャパシティを超えた部分をお願いできるようなスキルを身につけることが重要だと感じています。そして、今後後輩ができたら、その子の状況を気にかけながら的確な指示が出せるような存在になれればと思います。
──最後に、この記事を読んでいる求職者の方へメッセージをお願いします。
今やりたいことがある人もそうでない人も、まずはいろいろな会社のことを調べてみてほしいです。興味がある会社だけでなく、全く関係のない会社のことも調べてみると、意外とおもしろい会社に出会えたりします。その行動の中でも、多くの学びや情報を得ることができるので、ぜひ視野を広げて就職活動をしていただけたらと思います!
(取材・執筆:大村 奈々恵)